コーヒー豆の焙煎とは?焙煎と焙煎度合いについて解説!

多くの方が「コーヒー豆」と聞いてイメージするものは、茶褐色で香ばしい風味が漂う小さな豆だと思います。

実は本来のコーヒー豆は茶褐色ではなく薄緑色をした青臭い香りのする豆なのですが、コーヒー豆を焙煎することによりあのような茶褐色の見た目に変貌します。

また、焙煎したコーヒー豆を挽いて抽出することにより、苦味や酸味、甘味がある魅力的なコーヒーが出来上がります。

すなわち、コーヒー豆が焙煎されることで初めて、普段みなさんが口にしているコーヒーになるのです!

昔の人が、コーヒー豆を焙煎するという過程を誰も思い付かなければ、今この世にはコーヒーはなかったかもしれません…。

今回は、コーヒーにとって大切な焙煎焙煎度合いについて、詳しくお話しさせていただきます!

目次

コーヒー豆の焙煎とは

コーヒー豆の焙煎とは、「コーヒー生豆」を加熱して炒ることにより「コーヒー豆」に変わる加熱作業のことです。

焙煎ではなく、「乾煎り」と呼ばれることもありますが、意味は同じです。

また、英語では「roast(ロースト)」といい、焙煎を行う焙煎士のことを「roaster(ロースター)」といいます。

焙煎をする前のコーヒー生豆の状態だと青臭く、このままでは飲むことはできません。

このコーヒー生豆に対して焙煎工程を踏むことにより、コーヒー生豆に含まれる水分が飛ばされ、様々な化学変化が起こり、普段飲むコーヒーの苦味や酸味などの風味などが生まれていきます!

焙煎によるコーヒー豆の変化

コーヒー焙煎について、料理でイメージされるとわかりやすいかと思います。

「生肉」をそのままガブリとするよりも、しっかりと焼いた「こんがり肉」の方が香ばしく美味しいのと同じで、「コーヒー生豆」も焙煎をすることでコーヒーの美味しい味を引き出す「コーヒー豆」へと変わります!

また、お肉にも焼き加減で味が変わり「レア」「ミディアム」「ウェルダン」などがあるように、コーヒーにも焙煎をどれだけ行うかで味が変わってきます。

焙煎をあまり行わないと酸味がよく際立つ「浅煎り」、焙煎をある程度行うと酸味と苦味のバランスが良い「中煎り」、焙煎をかなり行うと苦味などが際立つ「深煎り」です。

ちなみに、「浅煎り」よりも焙煎を行わないと青臭さがかなり際立ち、「深煎り」よりも焙煎をより行うと苦味がかなり際立ちます。(お肉でいう「生焼け」や「丸焦げ」のような状態)

この「どれだけ焙煎を行うか」というのが焙煎度合いであり、一般的なものにアメリカ式の8段階の分類があります!

8段階の焙煎度合いについて

それぞれの焙煎度合いを8段階で表示したものが、以下になります。

『浅煎り』『中煎り』『深煎り』など、それぞれの焙煎度合いによっても大きく分類されています。(ここでは仮で「焙煎の種類」とさせていただきます)

焙煎度合い焙煎の種類
ライトロースト浅煎り
シナモンロースト浅煎り
ミディアムロースト浅煎り
ハイロースト中煎り
シティロースト中煎り
フルシティロースト中深煎り
フレンチロースト深煎り
イタリアンロースト深煎り

上記の表では、下に行くほど焙煎時間が長いです。

注意していただきたいのは、この焙煎度合いについて、実は明確な定義がなく、お店によって分類が異なることが多々あるということです。

例えば、A店では「ハイロースト」としているものを、B店では「ミディアムロースト」としていて、C店では「シティロースト」としているなんてこともあります…。

他にも、「ミディアムロースト」を「中煎り」としていたり、「シティロースト」を「中深煎り」としたり、「シティロースト」も「フルシティロースト」も「中煎り」とまとめてしまうこともあります。

しかし、前述した通り、明確な定義がないため、これらはどれも間違っているというわけではありません!

そのため、ざっくりとした分類があるということだけを意識していただけると良いかなと思います!

実は、一部のお店や企業によっては「L値」「アグトロン値」という色の明度を数値化して焙煎度合いを定義づけているところもあります。後述しますので、興味がある方はそちらもご覧ください!

焙煎時間で変わるコーヒーの味

コーヒー豆は焙煎度合いによって味わいが変わってきます。

これは、焙煎をすることによりコーヒー豆に複雑な化学変化が起こることで、様々な味わいが発生していることが原因です。

そのため各焙煎度合いについて説明する前に、焙煎によるコーヒー豆の味わいの変化について「酸味と苦味」の両面からざっくりとお話しさせていただきます!

酸味

焙煎を開始してから初期の段階では、コーヒー生豆の酸味をもたらす成分はどんどん増加していきます。

しかし、常に増加傾向にあるわけではなく、焙煎が進むにつれて今度は酸の熱分解が始まり減少していきます。

シナモンローストくらいで酸味成分は最大に達し、シナモンローストからミディアムローストに移り変わる辺りから、酸味成分が徐々に減少していくイメージです。

浅煎りよりも中煎りや深煎りなど、よりしっかりと焙煎した時の方が酸味があまり感じられなくなってくるのはこれが原因です。

苦味

苦味成分は、酸味と異なり焙煎が進むにつれて増えていきます。

ミディアムローストくらいから、かすかに苦味が感じられようになっていき、そこからさらに焙煎が進むと徐々に酸味よりも苦味がメインになっていきます。

また、中煎りと深煎りでは主に生成される苦味成分が異なり、中煎りから深煎りまでは「クロロゲン酸ラクトン類」が増加していき、深煎りからは「ビニルカテコールオリゴマー」がメインとなって増加していきます。

焙煎度合いによって生成される苦味成分が異なるため、同じ苦味という括りでも中煎りと深煎りの苦味の質は異なって感じられます。

酸味と苦味の両立

このように焙煎度合いによって、初めは酸味成分が十分に増加していくため浅煎りは酸味が強く、その後酸味成分が減少していくとともに苦味成分が増加するので深煎りは苦味が強くなっていきます。

最近では豆本来の風味や酸味を楽しむといった主流があるので「浅煎り」の「ミディアムロースト」あたりのコーヒーが人気ですが、自家焙煎豆屋などにいくと「ハイロースト」「シティロースト」あたりの酸味も苦味もどちらも十分に感じられるような万人受けするコーヒーがメインで置かれているところが多いです!

酸味と苦味の発生についてご説明したところで、次は各焙煎度合いについてそれぞれ解説していきます!

ライトロースト

この段階では、酸味が強く際立っています。

また、生豆本来の青臭さもかなり感じられて、好んで飲むには微妙な味わいです。

当然苦味は感じられず、コーヒーの良い香りもあまり出ないでしょう。

豆の特徴を確認するために飲まれる用途があるくらいです。

シナモンロースト

この段階でも、まだまだ酸味が強い状態です。

コーヒー独特の香りは感じられるようになるものの、苦味は全然なく、あまり飲まれることのない段階です。

コーヒー生豆の青臭さも若干感じられます。

ミディアムロースト

自家焙煎豆屋などに並び始める段階です。

まだ酸味の方が強い印象ですが、苦味も多少感じられるようになってきます。

コーヒー独特の香りがしっかりと立ち始め、アメリカンコーヒーとして使われることもあります!

ハイロース

自家焙煎豆屋などで、メインになってくる焙煎度合いです。

酸味成分が減少していき、苦味が成分が増加しており、酸味と苦味のバランスがちょうど良く感じられます。

中煎りの部類で、スタンダードな焙煎度合いです!

シティロースト

こちらも自家焙煎豆屋などで、メインになってくる焙煎度合いの1つです。

十分に酸味が感じられ、反対に苦味やロースト感もしっかりと感じられる焙煎度合いです。

比較的、苦味成分の方が上位になってきます。

ハイロースト同様に、こちらも中煎りの部類でスタンダードな焙煎度合いです!

フルシティロースト

ここから深煎りとなっていき、酸味があまり感じられなくなっていき、苦味が強く感じられます。

この焙煎度合いから、豆の表面にも油脂が浮かんでくるようになってきます。

アイスコーヒーやエスプレッソなどによく用いられます!

フレンチロースト

酸味はほとんど感じず、苦味が十分に強く際立っています。

アイスコーヒーやエスプレッソ、カフェオレなどのアレンジコーヒーにも使われるようになってきます!

イタリアンロースト

酸味は全く感じず、苦味やコク、香ばしさが十分強く出ています。

豆の色も真っ黒で、アイスコーヒーやカプチーノに使われることもあります。

焙煎度合いの注意点

8段階の焙煎度合いについてご説明してきましたが、前述している通り、これらの焙煎度合いには明確な定義はなくお店によって焙煎度合いが異なることが多々あります。

そのため、自家焙煎豆屋でコーヒー豆を購入されるときは、好みの焙煎度合いを伝えるよりも、酸味と苦味のバランスを伝えて焙煎をしていただく方が無難な味わいになってきます。

可能であれば、試飲をさせていただき自分の好みな味わいに焙煎をしていただく方が良いかと思います!

あくまでも、焙煎度合いはそのコーヒーの味わいの目安として把握しておくのが、ベストですね!

焙煎度合いに明確な定義がないとお話しさせていただきましたが、焙煎したコーヒー豆の明度を数値化して焙煎度合いを定義づけているお店や企業も存在します!

焙煎度合いを数値化したものが「L値」「アグトロン値」というものです。

L値

L値とは、CIE(国際照明委員会)が定義したLabという色彩値の「Lの値」のことをいいます。

Labについて簡単にいうと、普段私たちが目にしている色に対して数値化したものです。

「L」「a」「b」のそれぞれが違う要素の数値を指しますが、「L」に関しては明るさを指します。

すなわち、「明るい」「暗い」といった情報を数値化したものが「L値」ということになります!

Labについて、詳しく知りたい方は以下のサイトを参照してみてください!

Labについて

焙煎度合いは、焙煎された豆の色によって焙煎士が主観で判断されることが多いですが、それを「L値」を使って数値で判断するということです。

この「L値」に関しては、全日本コーヒー協会の検定本に記載がされていますので、そちらを参照させていただきます。

焙煎度合い参考 L値
ライトロースト27.0以上
シナモンロース25.0以上 27.0未満
ミディアムロースト22.5以上 25.0未満
ハイロースト20.5以上 22.5未満
シティロースト18.5以上 20.5未満
フルシティロースト16.5以上 18.5未満
フレンチロースト15.0以上 16.5未満
イタリアンロースト15.0未満

L値が大きいほど明るく、L値が小さいほど暗くなります。

「L値」とは、あくまで明度(明るい、暗い)を示す値であり、「a」「b」の数値が変動すると見える色は変わってきます。そのため、参考程度の数値として使われています。

アグトロン値

アグトロン値とは、アメリカのAgtron社が開発したコーヒー豆の焙煎度合いを測定できる機械で測った時の数値です。

SCA(Speciality Coffee Association)でも採用されている数値で、測定された数値をもとに焙煎度合いを決定しています!

日本では、同様の数値を測ることのできるLighttells社のコーヒーローストアナライザーを使用しているところが多くあり、ここで紹介するアグトロン値もそちらを参照させていただきます。

焙煎度合いアグトロン値
ライトロースト91 ≦ 〜 <100
シナモンロースト81 ≦ 〜 ≦ 90
ミディアムロースト71 ≦ 〜 ≦ 80
ハイロースト61 ≦ 〜 ≦ 70
シティロースト51 ≦ 〜 ≦ 60
フルシティロースト41 ≦ 〜 ≦ 50
フレンチロースト31 ≦ 〜 ≦40
イタリアンロースト0 ≦ 〜 ≦ 30
Lighttells社のコーヒーローストアナライザー

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